そこそこの出来の子の親の苦悩。
ムスメが赤ちゃん時代から親しくしているママ友がいるのだが、そこのお子さんとは小中学校は別々になったものの、現在同じ塾の同じクラスで机を並べている。
そのママ友が、やはり同じ塾にお子さんふたりを通わせていた先輩ママに受験話を聞く機会があると言い、何か聞きたいことがあれば聞くよ? と申し出てくれたので、経験者に是非聞きたいと思っていたことをいくつかぶつけてみた。
現在高校生になっているふたりのお子さんは、聞くところによるとどちらもとても優秀。ただおふたりとも高校入試では思うような結果を出せず第一志望の高校にいるわけではないらしいが… そのあたりも踏まえて聞きたいことはあった。
そして優秀なお子さんたちとともに高校受験を乗り越えたお母さんからは、こちらの疑問を余すことなく答えてくれると期待したのだが。
思いがけず返ってきた答えは
『良く知らない』
『こどもたちはわかっているかもしれないから聞いてみる』
といったものが多く、かつ、それはちょっと違う… という回答まで含まれていた。
おそらく… お子さんたちが自律しており、親が積極的に関与する必要がなかったのだろう、という印象。
また、この週末は塾の入試イベントに参加したムスメたち。
たまたま塾のおともだちが数人、翌日わが家に立ち寄る機会があったので、さぞかし受験スイッチ入ったでしょう? と聞いてみた。
「入った! やっぱり勉強しなきゃな、と思った」
と声をあげたのは、学校では優等生として名を知らしめているおともだち。入塾したのは中2の冬期講習からなので、塾での本領発揮はまだこれからだと思われるが。
「でもお母さんにそう言ったら、まぁそんなに頑張らなくてもいいんじゃない? って」
そのお母さんは会えば多少の雑談くらいはする仲だが、本当にいつも余裕を持ってお子さんと接しているのだ。
ちなみにそのおともだちのお姉さんは中3になって入塾してくるや否やすぐさま上位に躍り出て、出願直前まではトップクラス校:B高校を受験する予定だったものを、塾の先生に懇願されトップ校:A高校にギリギリで変更。そしてA高校の上位コースで合格 という、この塾内での逸話の持ち主である。
「勉強しなさい、とは言ったことないのよねぇ。ふたりとも時期がきたら言わなくても勝手にやってるから」と、穏やかに微笑みながら言う。
そして周りのハハたちは『羨ましいわ〜、そんなこと言ってみたいよね?!』と。
親としての器量の違いなのか。
こどもの出来(学力+自律性)によるものなのか。
ムスメが中学生になってからというもの、自分なりにかなり入れ込んできて、この先さらに必死になりそうなハハであるが、なんとなく惨めな感情が漂った。
そんなつもりはないが、心のどこかでやっかみがあるのだろうか。
ムスメは、努力しなくてもトップを突っ走る天才ではないし、誰に何を言われなくても努力して成果を出す秀才でもない。
ただ、地頭なのか、幼児期からの学習の効果なのか、まぁそこそこは出来るクチだとは思う。この “そこそこ” が曲者で、親は期待を捨てられないのだ。
まだ、春。先は長いが、既に苦しみは始まっている。