ムスメとハハの365日ニッキ

2018年 高校受験を迎えるムスメとそのハハのニッキ。

あの日から。

今日は最初の登校日。
パンパンに教科書を詰め込んだキャリーバッグを引きずって、ムスメが帰って来た。

その量にも驚かされるが、その金額にも目眩がしそうだ。約4万円。これにまだ辞書を買わなければならない…。


あの日から、既に恐ろしいほどの出費続きだ。

あの日は、小雨が降る寒い日で、合格者掲示が行われる場所から少し離れたところで、受験生とその親たち、そして塾などの関係者は震えながら待たされていた。


午前10時、そのときがきて、合格者の受験番号が掲げられる。
将棋倒しになどならないよう慎重に、けれど甚だ急ぎ足で、わたしたちはそこへ向かった。

ムスメの受験番号がどこにあるのか、だいたいの目処さえつかないうちに、ムスメが「あった!」と声をあげた。

「本当?」
「ある!」
「どこ?」

あまりの人混みに進むべき方向が見えず、ただ長身のムスメには早いうちから確かにその番号が確認できたらしく、何度か間違いないかと問いただしたが、そのうち涙で前が見えなくなった。


ようやくその掲示の下にたどり着いたら、先にそこにいた同じ中学・塾から受験したお友だちがいて、ムスメの姿を見つけて歓喜の涙を流しながら肩を抱き合いにやってきた。

合格可能性が厳しいからとご家族から受験を反対され、塾で涙にくれて、見兼ねた塾長が親御さんに頼み込んで受験を認めてもらった、という話を聞いていた。


そして数歩ほど離れたところには、やはり同じ塾に通っていた幼なじみの男の子がいた。
「笑ってるね」と、ムスメが言った。
その彼に労いの言葉を、と近付こうとすると、それより先に彼の姿を見つけた塾長が彼を抱き寄せ、男泣きしていた。

この子もギリギリまで受験を迷っていた子だった。お母さんとは旧知の仲だが、中1の頃からは勉強や塾・受験のことでお互い包み隠さず悩みを相談し合ってきた。
この高校の受験について、塾長と何度も面談や相談を重ねていたことも聞いていたから… 塾長もこの子に対してはただならぬ思いがあったのだろう。



希望が叶った子も、残念な結果に終わった子も、それぞれのドラマがあったのだろうと思う。

わが家にもわが家のドラマがあり、この3年間の出来事や思いが頭の中を巡った。
受験一色の中学生活を過ごさせたわけではもちろんないのだが、けれどここに向かって最初からムスメに伴走してきたつもりだ。

3年間、よく頑張ったね
そう声を掛けるのが精一杯で、言葉にならなかった。



その日のうちに説明会が行われ、
大量の書類を書き、
制服の採寸をして、
教科書を購入して、

入学金や後援会費を納めなければならないし、
まだ書類は残っているし、
カバンや靴も新調しなければならないし、
4月に入ると健康診断があり、すぐ入学式だ。

しかもわが家は下の子も卒入学だから、とにかく毎日が目まぐるしく過ぎていく。
けれど、ここしばらくなかった、気持ちのうえでは穏やかな日々を迎えている。

但し本人は既に宿題の山に埋もれて、うんざりしているようだが。


3年前、ムスメが中学生になったとき、
公立高校を目指すのに、誰も彼もが塾通いをしている現状を見て、いったいどういうことなのか理解ができなかった。

いまになってわかるのは、少なくとも公立上位校を目指す場合、学校の勉強を真面目にやっているだけではなかなか太刀打ちできない、ということだ。
こういう状況が正しいかどうかは甚だ疑問だが、そうなっているのは事実だ。


親としてはもっと出来ただろう、という思いもある。
けれど、学校の勉強もサボらず、それ以上の学習を重ねてきたことは間違いない。よく努力した3年間だったと思う。


これからまた未知の世界に足を踏み入れる。
そしてムスメとはまたまったくタイプの違う、下のきょうだいが中学生になる。

高校生と中学生のハハをやり、
3年後にはともに受験生となる…


ハハも、のんびりしていられる時間は長くはなさそうだ。



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